私は学士・修士を私大で取り、その後国立の大学院大学に編入したという経歴を持つ。
分かりにくいのでもう少し丁寧に書くと、大学を卒業してから2年間(博士前期課程、修士課程とも言う)同じ大学に残り、修士号を取得した。その後、別の大学に移り博士後期課程(3-4年)を過ごしている。
今回は、
なぜ大学院に行ったのか?そしてなぜ博士後期課程で別の大学院に移ったのか?
について書いてみようと思う。
まず、なぜ博士前期課程(修士課程)に行ったか。
理由は単純で、
・研究が楽しかったから
・目指していた業種は院卒が多かったから
である。
国立大学の理系であればほとんどが修士まで進学する所も多いが、私の通っていた次第では修士進学率は1割にも満たなかった。
それでもそのまま同じ大学に残って研究を続けたのは、研究には、まだ誰もが知らない事実を、世界で自分が初めて、しかもボスよりも先に、目の当たりにすることが出来るかもしれないという、とてつもないワクワク感があったからだ。同時に当時自分のテーマが面白くなりつつあったため、私がやらなくて誰がやってくれるんだ!とよくわからない責任感におそわれたのもある。
学部の卒業研究では物足りなかった。何かを初めて見つけて、「この重要なものを、この私が見つけたんです!」と論文を書いて世に示したかった。
うがった見方をするなら、自信がなかった自分の、自己顕示欲や自己肯定感を高めたかったのかもしれない。でも、当時の目標であった「博士前期課程所属中に論文を出す」ことを達成できたのはその自己顕示欲のおかげである気がする。
では本題。なぜ博士後期課程に行ったのか?しかも別のラボに行ったのか?
これに関しては正直まとまらない。色々悩んで、悩んで、結局進学を決めた。ポジティブな理由ももちろんあるし、ここに書いていいのか悩むネガティブな理由もある。
そして結局のところ博士進学をしたその選択が正しかったのかもわからない。でも自分で選んだ道だから、自分で正解にするしかないと思う。
博士進学をする人は、迷わない。という話を聞く。私は逆で、博士進学なんて、実はこれっぽっちも考えていなかった。就職一択だった。
食品企業で商品開発に携わるのが高校生の頃からの夢だった。食品企業で開発をする人は修士卒が多いから、食のエキスパートである管理栄養士の免許を取って修士まで行こうと高校生の時に決めていた。(単純)
その後晴れて管理栄養士専攻に合格し、国家試験を終え、そのまま修士課程に進学した。
修士課程2年目の就活に向け、企業の人たちに会いに行ったり、企業の研究所紹介のイベントに参加したりした。
でも、参加していくうちに、企業で商品開発したいというずっと憧れだった夢が自分の中で少し変わっていることに気がついた。企業の研究者は今も憧れの方たちであるし、かっこいいと思っているが、企業の場合『製品を市場に生み出す』ことがゴールであるため、すぐに製品化に結びつかない研究はしづらい。さらにセンシティブな話題になってしまうが動物実験はどんどん削減されており、基礎研究はしづらいイメージがある。
そのことを色々考慮した結果、今まで考えたことのなかった博士後期課程に興味が出てきた。
THE・基礎研究!の、製品化に追われないからこそできるアカデミアならではの研究をもう少しやってみたいような気がした。さらに、世界で働くことの出来るパスポートを手にできる、というのもまた魅力的だった。